山口大学 共同獣医学部

教員紹介

生体機能学講座 日下部 健 (TAKESHI KUSAKABE, PhD, DVM)

准教授
獣医解剖学分野

e-mail: kusakabe@yamaguchi-u.ac.jp
Tel/Fax: 083-933-5882

 

担当授業科目

獣医組織学 獣医解剖学実習
獣医組織学実習  
 

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研究テーマ

・自然流産胎盤における変動因子の同定と機能的解析
・脂質代謝関連因子の胎盤内動態と生殖学的影響

主な研究業績

1. Takeshita A, Kondo T, Okada T, Kusakabe KT. Elevation of adipsin, a complement activating factor, in the mouse placenta during spontaneous abortion. J Reprod Dev 56:508-514, 2010.


2. Takeshita A, Nagaishi S, Kondo T, Okada T, Kusakabe KT. Regulation of Complement activity via the alternative pathway in placentas of mouse spontaneous abortions. J Vet Med Sci 72: 1375-1377, 2010.


3. Kusakabe KT, Abe H, Kondo T, Kato K, Okada T, Otsuki Y. DNA microarray analysis with a mouse model for endometriosis and validation of candidate factors with human adenomyosis. J Reprod Immunol 85: 149-160, 2010.


4. Kusakabe K, Kiso Y, Hondo E, Takeshita A, Kato K, Okada T, Shibata M-A, Otsuki Y. Spontaneous endometrial hyperplasia in the uteri of IL-2 receptor beta-chain transgenic mice. J Reprod Dev, 55: 273-277, 2009.


5. Kusakabe K, Naka M, Ito Y, Eid N, Otsuki Y. Regulation of NK cell cytotoxicity and enhancement of complement factors in the spontaneously aborted mouse placenta. Fertil Steril 90: 1451-1459, 2008.

研究内容の紹介

生殖器系は内分泌系による体系的な調節を受けるが、局所においてはリンパ球やサイトカインによる免疫系による影響を強く受けます。私は雌性生殖器や胎盤の免疫学的因子について、主にモデルマウスや遺伝子改変マウスを用い、正常妊娠過程における生殖学的意義や婦人科関連疾患における関連性について研究を行ってきました。現在及び過去の主な研究テーマを以下に示します。

● 妊娠初期における胎盤内補体活性の役割   補体は感染防御に必要な自然免疫システムの一つですが、制御バランスが崩れることより自己組織の破壊を誘導し、アナフィラキシーショックなどの原因となります。我々は、マウスの自然流産胎盤に補体活性促進因子adipsinが発現亢進していることを発見しました(Fertil Steril 90:1451, 2008)。面白いことに、adipsinは補体以外に、脂肪細胞に発現し、脂質代謝も誘導することが知られています。現在、adipsinの基本的な胎盤内動態、流産胎盤における発現・補体活性の変化を調べ(Takeshita et al., J Reprod Dev 56:508, 2010; Takeshita et al., J Vet Med Sci 72:1375, 2010)、妊娠生理・流産に関わる働きについて研究しています。

● 子宮内膜症モデルマウスでの網羅的遺伝子解析とヒト病変への応用   子宮内膜の自家移植によるモデルマウスを作成し、DNAマイクロアレイで特異的遺伝子を網羅的に調べると、cxcl10、calbindin D-28Kの亢進、prostaglandin E2 receptor 3およびprotstaglandin I2 synthaseの低下が認められました。これらの因子をヒトの病変組織で調べると、マウスモデルと類似した発現・局在変化を示し、これらの因子が子宮内膜症の病態解析に応用できる可能性を示しました(J Reprod Immunol 85:149, 2010)。

● ダナゾールの妊娠促進的役割   子宮内膜症の治療薬であるダナゾールを交配前のメスマウスに2週間投与すると妊娠率が有意に増加しました。投与後の子宮内膜ではM-CSFおよびα5インテグリンの発現が亢進し、ダナゾールはこれらの因子の発現を子宮内膜に誘導し、着床に関わる可能性を示しました(J Reprod Dev 53:87, 2007, 特開2005-263742)。

● 子宮NK細胞の生殖学的役割・動態変化   哺乳類の妊娠子宮には、natural killer細胞系列のリンパ球が存在しています。その役割はまだ十分に解明されていませんが、妊娠の成立・維持に重要であると考えられています。我々は、この子宮NK細胞の機能・分化に関する研究を行ってきました。今までの主な成果を以下に示します。
1. 自然流産を発症したマウスの胎盤では、子宮NK細胞の細胞傷害性因子の発現は低下し、 killer inhibitory receptorを介した傷害活性の抑制機序が働いている(Fertil Steril 90:1451, 2008)。
2. 細胞傷害性タンパクperforinを分泌し、栄養膜細胞の過剰な浸潤を抑制して正常な胎盤形成に寄与する(Immunobiology 209:719, 2005)。
3. Epidermal growth factorの産生能を持ち、胚の成長、胎盤の形成に関わる(J Vet Med Sci 61:947, 1999)。
4. 通常、子宮NK細胞は分娩前には胎盤から消失するが、この減少にFas/Fas ligandによるアポトーシス誘導機序が関与する(J Reprod Dev 51:333, 2005, J Vet Med Sci 61:1093, 1999)。
5. 遺伝的にリンパ節を欠損するaly/aly (alymphoplasia) マウスでは、子宮NK細胞に形態形成の遅延がみられた。このことは、リンパ組織微小環境の異常が子宮NK細胞の分化に大きく影響することを示唆した(J Vet Med Sci 59:1137, 1997)。

コンタクトインフォメーション

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