山口大学 共同獣医学部

教員紹介

臨床獣医学講座 佐藤 宏 (HIROSHI SATO, PhD, DVM)

教授(連合獣医学研究科長)
獣医寄生虫病学分野

e-mail: sato7dp4@yamaguchi-u.ac.jp
Tel/Fax: 083-933-5902

 

担当授業科目

獣医寄生虫病学 獣医寄生虫病学実習
専修獣医寄生虫病学 (共通教育)主題別科目:自然と科学;歴史の中の動物(分担)
 

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研究テーマ

・ 野生動物・飼養動物での寄生虫病の疫学調査
・ 糞線虫類の生物学的特徴づけと病原性評価
・ 野生動物トリパノソーマ類の生物学的特徴づけ

主な研究業績

1. H. Sato, K. Suzuki, A. Osanai, H. Kamiya, and H. Furuoka (2006): Identification and characterization of the threadworm, Strongyloides procyonis, from feral raccoons (Procyon lotor) in Japan. Journal of Parasitology 92: 63-68.


2. H. Sato, and K. Suzuki (2006): Gastrointestinal helminthes of feral raccoons (Procyon lotor) in Wakayama Prefecture, Japan. Journal of Veterinary Medical Science 68: 311-318.


3. H. Sato, K. Suzuki, A. Osanai, and M. Aoki (2006): Paragonimus westermani and some rare intestinal trematodes recovered from raccoon dogs (Nyctereutes procyonoides viverrinus) introduced recently on Yakushima Island, Japan. Journal of Veterinary Medical Science 68: 681-687.


4. H. Sato, A. Osanai, H. Kamiya, Y. Obara, W. Jiang, Q. Zhen, J. Chai, Y. Une, and M. Ito (2005): Characterization of SSU and LSU rRNA genes of three Trypanosoma (Herpetosoma) grosi isolates maintained in Mongolian jirds. Parasitology 130: 157-167.


5. H. Sato, Y. Une, S. Kawakami, E. Saito, H. Kamiya, N. Akao, and H. Furuoka (2005): Fatal Baylisascaris larva migrans in a colony of Japanese macaques kept by a safari-style zoo in Japan. Journal of Parasitology 91: 716-719.


6. H. Sato, K. Ishita, A. Osanai, M. Yagisawa, H. Kamiya, and M. Ito (2004): T cell-dependent elimination of dividing Trypanosoma grosi from the bloodstream of Mongolian jirds. Parasitology 128: 295-304.


7. H. Sato, K. Matsuo, A. Osanai, H. Kamiya, N. Akao, S. Owaki, and H. Furuoka (2004): Larva migrans by Baylisascaris transfuga: fatal neurological diseases in Mongolian jirds, but not in mice. Journal of Parasitology 90: 774-781.


8. H. Sato, H. Kamiya, and H. Furuoka (2003): Epidemiological aspects of the first outbreak of Baylisascaris procyonis larva migrans in rabbits in Japan. Journal of Veterinary Medical Science 65: 453-457.


9. H. Sato, J. R. Kusel, and J. Thornhill (2002): Functional visualization of the excretory system of adult Schistosoma mansoni by the fluorescent marker resorufin. Parasitology 125: 527-535.

研究内容の紹介

1.寄生虫の侵略(外来寄生虫の新規分布)と侵攻(在来寄生虫の新たな媒介手段の獲得)を探る   私たちは、さまざまな動物と共に生活しています。それは、飼育を含めた直接的な触れ合いでばかりでなく、食品や生活水を介した間接的な接触など、いろいろなかたちで行われているために、その全体把握は難しいところです。国内外で外来動物が大きな社会問題となり、さらに、私たちと在来動物との関係も変化してきました。このような状況を受け、動物に由来する感染症と私たちとの関係も変化しつつあります。本研究室では、感染症の中の寄生虫病に焦点をあて、外来・在来野生動物や飼養動物(ペット動物や動物園動物を含む)での感染状況の把握に取り組んでいます。この疫学調査は、私たち住民の感染予防対策のためでもあり、また、周辺動物の寄生虫病被害を未然に防ぐために重要です。寄生虫病の中でも、「幼虫移行症」の原因となる蠕虫に特に注目し、疫学調査で得た寄生虫の病原性について実験室での解析も行っています。

2.寄生虫の中の歴史を探る   寄生虫の存在は、私たちの観察によって「認識」されます。生物としての寄生虫は、病気の顕在化がある場合にはその認知が進みやすいのですが、動物との共存を成し遂げた寄生虫種では不顕性感染しており、その存在を無視してしまいがちです。身近な動物の中に眠る(未認知や稀認知)寄生虫について、その認識を深める努力を行っています。分子生物学的解析は、その寄生虫の種診断だけでなく、その生物の中に隠された歴史を隔間見る機会ともなります。世界の類縁寄生虫との相互関係を探り、宿主適応の歴史や世界分布の道筋を辿ることに繋がることを目指しています。

3.スナネズミの不思議   スナネズミ(Meriones unguiculatus) は大きな目をした愛くるしい動物です。寄生虫には「宿主特異性」があり、野外で得た寄生虫を実験室へ導入することは一般的には困難です。犬科動物を固有宿主とするエキノコックス(Echinococcus multilocularis)、人を固有宿主とするクリプトスポリジウム(Cryptosporidium hominis)、人あるいは動物を固有宿主とする数種の糞線虫(Strongyloides spp.)、野生齧歯類を固有宿主とするトリパノソーマ(Herpetosoma trypanosomes)など、ラット、マウス、モルモットなどの一般的な実験動物では感染が成立しない局面でスナネズミが大活躍してくれます。一方で、広い宿主域をもつクルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)や「雑菌」に対しては強い感染抵抗性をもっています。野外寄生虫調査と実験室解析を繋ぐ、有用性の高いツールとなるスナネズミですが、その高い感染感受性が説明できていません。さまざまな寄生虫の実験室維持と研究材料調整に重宝しながらも、その謎解きの機会を探っています。

コンタクトインフォメーション

居室:農学部2階207号室

オフィスアワー:随時