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山口大学共同獣医学部

2019年度 共同獣医学部長からのメッセージ

山口大学 共同獣医学部長

佐藤 晃一

「紡ぐ」

 新しい年度を迎えるにあたり、一言ご挨拶をさせていただきます。

 昨年度は、「共同獣医学部」を2期生が卒業するとともに、新しく設置した大学院である「共同獣医学研究科」に1期生が入学し、私たちは新たな第一歩を踏み出したことになります。また昨年11月には、大学基準協会による獣医学教育評価(第三者評価)を受審し、私たちの教育内容や実施体制が評価され、獣医学教育を実施する組織として十分満足いくことが認められました(2019年3月25日承認)。

 このような新しい状況のもと、今年度は、この7年間の取組の集大成とも言うべき最も重要な外部評価が実施されます。それは長年にわたり準備に取り組んできた、EAEVE(欧州獣医学教育機関協会)による認証評価です(2019年6月公式視察実施予定)。すでに本年3月には、視察を受けるために必要となる自己評価書(SER)をEAEVE評価本部へ提出し、山口大学・鹿児島大学共同獣医学部(VetJapan South*注)の組織、財政、設備、教育カリキュラムと実習状況、質保証への取組などを含む12章からなる事項を報告しています。私たちは、アジアで初めてとなるEAEVE獣医学教育認証を取得するために、教員体制という組織、病理学実習や産業動物臨床実習等を行う施設、そして国際水準の獣医師を育てるための教育カリキュラムおよびその質保証という、大きく3つの項目を充実するために改善を行ってきました。今年は、これまでの取組が評価されることになります。私たちの準備はほぼ整いましたので、あとはヨーロッパから来る8名の視察者に、我々の取組を理解いただき、正当な評価が得られるよう本番を迎えるだけとなっています。

 さて、共同獣医学部では、上記EAEVE認証評価以外にも、二つの大きな取組を行っています。一つは動物の福祉に関する取組、もう一つはアジアでの獣医学教育の発展に向けた取組です。

 近年、獣医学教育における実習の形は大きく変わろうとしています。私たちも動物福祉の観点から、生体への痛みや苦痛を伴う実習をなくし、動物ハンドリングや動物シミュレーターを使った実習へと切り替えつつあります。2017年に私たちは、「山口大学獣医学部の挑戦!」として、動物シミュレーターの購入に向けたクラウドファンディングを実施し、スキルスラボ(動物シミュレーターモデル実習室)を充実しています。今後もこの取組を継続していくことで、動物福祉を実践していきます。

 一方、アジアを見渡すと、獣医学教育の実施内容は発展途上あにり、講義のみならず実習のあり方も統一されていません。私たちは、EAEVE認証取得に向けた作業で培ってきた獣医学教育改善の手法をアジアに浸透させることを目的に、まずは経済成長が著しいインドネシアと協力して獣医学教育について話し合う協議会、Association of Japan-Indonesia Veterinary Education(AJIVE)を設立しました。AJIVEの事業では、インドネシアから若手教員を呼び寄せて日本で教育研究について学習してもらい、インドネシアに戻って実践する取組を開始しています。この取組が、将来的にアジア全体に広まればと思っています。

 この7年間で山口大学共同獣医学部は、時や人を「繋ぐ」ことで多くの改善を進めてきました。しかし、これらの繋がりの糸は単独で機能するのではなく、それぞれの糸を「紡ぐ」ことで、より強固になり、歴史となっていくと考えています。

 山口大学共同獣医学部は、これまで繋いできた時や人を「紡ぐ」ことを大切にしながら、さらに教育研究に邁進していきます。皆様方のご声援、ご鞭撻を今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

平成31年4月1日
 共同獣医学部長 佐藤晃一

(*注)
VetJapan SouthとはEAEVEに登録している山口大学・鹿児島大学共同獣医学部の正式名称です。