山口大学 共同獣医学部

教員・学生の受賞など(2016/11/22)

キラン君の研究成果がJournal of Veterinary Medical Scienceの表紙に採択されました

ネパールからの留学生のキラン君の論文が、Journal of Veterinary Medical Science誌の2016年11月号に発表され,表紙の写真にも採用されることになりました。

 表紙の写真は、精製したウシのゴナドトロフ細胞を数日培養した後の免疫染色写真を共焦点顕微鏡で撮影した写真です。上段左は細胞核のDNAを示し、上段中央はLHを発現している細胞の写真で、上段右はGnRH受容体を発現している細胞の写真です。また下段左は細胞膜などを示していて、下段中央はこれら4つの写真を重ねて表現しています。この写真は、精製したウシのゴナドトロフ細胞は培養可能であり、また精製純度は100%であることをを示しています。

 

該当論文および内容

Method for isolating pure bovine gonadotrophs from anterior pituitary using magnetic nanoparticles and anti-gonadotropin-releasing hormone receptor antibody. Pandey K, Nahar A, Kadokawa H.

 動物の生殖機能は、下垂体前葉の中にあって、LHやFSHという重要なホルモンを分泌するであるゴナドトロフ細胞によってコントロールされていることは、教科書にも書かれているようなよく知られた事実です。しかしゴナドトロフ細胞は、下垂体前葉の中の細胞のわずか10~15%しか存在せず、またゴナドトロフ細胞のみを精製する手法はこれまでにはありませんでした。このゴナドトロフ細胞の精製という難題に私達はとりくみ、世界で初めて、ウシの下垂体前葉からゴナドトロフ細胞を精製する方法をフローサイトメトリを用いて成功していました(この手法の詳細は次のリンク) しかし、このフローサイトメトリを用いた手法には、速度が遅く同時には一つの材料しか処理できないという問題が残されていました。 キラン君が報告した手法は、磁気ビーズ等を用いて、迅速に、複数サンプルを同時に処理して、ウシのゴナドトロフ細胞を精製する方法です。この手法を用いて、これまで未解明であったゴナドトロフ細胞について明らかにされることが期待されています。